「まちづくり」の可能性と問題点


(更新日:2016.08.04)
読了時間:約5分
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Photo:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Oki_dozen_high_school_view2.jpg?uselang=ja

少子高齢化に伴う過疎化や、ライフスタイルの変化に伴う商店街のシャッター街化、限界集落や買い物弱者、医療の隙間、農業・林業の衰退、雇用問題、待機児童の増加、空家の増加、耕作放棄地の増加・・・現在、地域に根ざした社会問題はそれぞれに絡み合い、複雑化しています。予算を取ってハコモノをぽんと作れば解決する時代は終わりました。
それぞれの地域の持つ問題と長所を明確に把握し、それぞれの問題のつながりを分析して、それに合わせた地域デザインを生みだすこと。
地域の抱える問題をまとめて解決する新しいアイデアが必要とされています。

しかしながら、全国にはまちづくりの失敗例が多々あります。まちづくりの持つ問題点と可能性を考えていきます。


失敗例

 この項ではまちづくりに失敗した例を取り上げ、何が欠けていたから失敗したのかを探りたいと思います。なお、この項を書くに当たって、久繁哲之介著「地域再生化の罠」(ちくま新書)を参照させていただきました。

 今回は島根県出雲市の中町商店街を紹介します。現在も典型的なシャッター街として知られるまちです。しかし、このまちにも地域活性化の取り組みが存在しました。いったいどんな取り組みだったのか、そしてなぜ失敗したのか、見ていきましょう。

 かつて、空き店舗が埋まらないことに頭を悩ませていた中町商店街の人々が採用したのが「ゆめしょっぷ」という制度でした。これは商店街の空き店舗を開業したい市民に貸し出す制度で、出店者には専門家による経営指導や賃料の一部補助などがある、というものです。
 一見画期的な取り組みに思えますが、実際にこの制度を活用して店を出す市民はあまり集まりませんでした。市民側からしてみれば、いくら行政の補助があるとは言え、

 「お店は出したいけど、初期投資などのリスクを取るのが怖い……」
 「現在の収入を犠牲にするほどの余裕はないから、時間とカネが確保できない」

などなど、たとえ興味があっても、お店を出すのはまだまだハードルが高いままだったのです。
 逆に考えれば、「他の収入源は確保したまま」「短時間で」できるならば、より気軽に出店できるのではないか?そう考えた久繁氏が提案したのが、「日替わりテント制」でした。これは、ひとつの空き店舗でも日ごとに違う出店者に貸し出すという制度で、出店希望者も手軽にお店を出せ、消費者も色々なお店が楽しめるという、市民にとって一石二鳥の制度だと言えます。
 しかし、久繁氏が提言したどの自治体も、この制度の導入には渋りました。

 「日替わりでテナントが替わるのは管理が大変……」
 「週6日は開業していてくれないと困る……」

というのが自治体の言い分でした。この主張は、行政がまちづくりのために手間やリスクを取る気がないことを示しています。
 先ほども示した通り、ゆめしょっぷは出店者がいさえすれば出店希望者にとっても消費者にとっても希望が叶えられる貴重な地域資源に育ちうる制度です。そのようなゆめしょっぷが躓いてしまったのは、中町商店街に日替わりテナント制が提案されたかどうかは久繁氏の著書に直接の記述はなかったものの、同様に行政が手間とリスクを惜しんだからだと推測することが出来ます。
 このように、地域資源が存在しても、行政の怠慢などの障害があるせいで市民がそれにアクセスできない、というのがまちづくりの失敗の原因になる、という例が多いようです。


古月 瑛の投稿

この項では、まちづくりの成功例として島根県海士町を紹介します。

海士町は、交通の便が悪く、少子高齢化も進んだ典型的な過疎の町でした。
また、行政の改革による財源の縮小により、一時は存続の危機にまで陥りました。
しかし、現在では人口の1割近くにのぼるIターン者が定住するまでに。
海士町には何故これ程多くの人が移住するのか?
海士町の魅力作りに迫っていきます。

海士町は島根県隠岐諸島に位置し、人口は約2400人、東京から飛行機、バス、フェリーを乗り継ぎ6時間半の自然豊かな町です。
しかし、年々進行する少子高齢化や、地方交付税削減・公共事業減少などによる財政危機、
学生数の減少による高校の廃校危機など抱える問題は深刻で、一時は町存続の危機に陥りました。

そんな海士町は、今ではまちづくりの成功例として日本中から注目されるようになりました。
海士町が変わることのできた要因を以下に見ていきたいと思います。

●行政の積極的な姿勢
海士町は、地方交付税の削減や公共事業の減少で年々基金残高が減少するという危機的な状況に陥っていました。そこで、町職員の給与を大幅に削減し財源を確保するという大胆な財政改革を行い、その財源で、新システムを導入するなどの政策を行いました。
●Iターン者誘致策
新たに導入した「商品開発研修生制度」の下、毎年全国各地から数名のIターン者を町の臨時職員として雇用しています。島独特の文化であった「サザエカレー」の商品化、特産である牡蠣の独自販路開拓など、「よそ者」ならではの視点を生かした商品開発が行われています。
海士町でのIターン者の活躍は、Iターン者にとって海士町が魅力的な町であることを知らしめ、さらに意欲的なIターン希望者を海士町に惹きつけています。

以上で見てきたように、海士町のまちづくりが成功したことには、行政が自らリスクを負ってIターン者がまちづくりに関与できる環境を作り、支援し、Iターンん者ならではの視点を利用して、元々存在していた地域資源と、人やビジネスを結びつけることができたことが大きく関わっていることが分かりました。

このように口で言うのは簡単ですが、まちづくりの失敗例に枚挙の暇がないのを鑑みれば、このことを実行するのは困難なのかもしれません。
何故、多くの市町村で海士町のようなまちづくりが行えないのか、これからの取材や調査を通して考えて行きたいと思います。


Hiroki Neichiの投稿

私が住む青森県南部町は高齢化率30%を超える過疎予備軍です。県内でもいち早く定住促進に向けて行政が、定年退職する団塊世代や就農希望の若者をターゲットに定住支援をしてきましたが、定住率はほぼゼロ…。一番大きな問題は住民が触れ合うコミュニティが少ないことだと思います。それこそ隣近所のつながりは皆無で、地域で一番活動が目につくは消防団くらいでしょうか。このコミュニティづくりが今、南部町の課題です…。


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