お金のゆくえ 〜預金がもたらす金融の中央集権化〜


(更新日:2016.08.04)
読了時間:約8分
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Photo:http://www.photo-ac.com/main/detail/28146?title=%E7%A9%8D%E3%81%BF%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%81%9F%E6%9C%AD%E6%9D%9F%EF%BC%94

あなたは給料日になると銀行口座にお金が振り込まれ、必要な分だけ引出を行うだろう。

では口座に残っているお金はどうなっているのであろうか。

銀行の金庫に保管されているのだろうか。
銀行が株式会社にお金を貸しているのだろうか。
銀行が金融商品を購入しているのだろうか。


金融資産・負債残高(2013年中)(単位:兆円)

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図は、世の中のお金の流れを簡易的に示している。

私たちはお金を銀行に預け、銀行は預かったお金を個人や民間企業に貸し出したり、会社の証券を購入したりしている。

そして、銀行から最も多くお金を受け取っている先は「一般政府の証券」である。
「一般政府の証券」。つまり、国債のことである。

以上をまとめると、統計上では私たちのお金は巡り巡って国債になっていると言える。

想像力をもって一度考えてほしい。
国の予算の約30%は社会保障に使用されている。
当然のように人口の多い首都圏で高齢者の年金や医療費にお金が回される。

私はこの事実を、首都圏以外の人にとって重要な問題であると認識している。

私が住む町「岐阜」でお金を預けていたとしても、
それは国債に変わり、首都圏に回収され、首都圏の人のために使用されている。
もしお金が岐阜に返ってくるとしても、無駄な公共事業に使われるかもしれないのである。

それは地域密着型の信用金庫も同じである。
たとえ岐阜の信用金庫に預け入れたとしても、
岐阜の民間企業に貸し出すお金より政府に回るお金のほうが多いのである。


さらに、地方のお金が首都圏に回収されてしまうことで地域格差が生じるといった問題も指摘される。
地域格差が生じた結果、貧しい地域の持続可能性が低くなることも考えられる。

私たちの「銀行にお金を預ける」という行動が、故郷の持続性を低下させる行動につながっていたということである。

こうした問題がある中、私たちはお金をどこへ預ければいいのか。
私たちは故郷を守るためにどうすればいいのであろうか。

[Photo:日本銀行「資金循環統計」より]

解決策「NPOバンク」

お金が巡り巡って首都圏に回収されてしまうことを「金融の中央集権化」と表現することがある。



本記事では「金融の中央集権化」解決策の一つ、「NPOバンク」を紹介する。

仕組みは簡単。
地域市民が「NPOバンク」にお金を出し、「NPOバンク」が地元のNPOにお金を貸す。

NPOにお金を貸せば、地域社会の問題解決のためにお金が使用されるであろう。
その結果お金の地産地消が実現でき、「金融の中央集権化」を防ぐことができるのである。



この「NPOバンク」は既に全国で約14の機関が設立されている。
「NPOバンク」の融資先はNPO法人のみならず株式会社、公益社団法人、一般社団法人、社会福祉法人、個人へと対象を広げている。
 NPO法人に限らず、公益社団法人や設立当初の株式会社は、実績も担保もないため、銀行融資が困難だといわれきた。しかし、「NPOバンク」制度が存在すれば、融資が困難だといわれてきた先にも融資ができる。このため、「金融の中央集権化」の観点のみならず融資を受ける側の観点からも「NPOバンク」の存在意義が高まってきている。

今後は、「お金は銀行から借りるもの」から、「NPOバンク」という1つ選択肢が増える時代が訪れるかもしれない。


取材レポート

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今回、私は、愛知県でNPOバンクを創立し、計1億円以上(2014年5月累計)の融資をしてきたコミュニティ・ユース・バンクmomo(以下「momoさん」)を取材した。


momoさんは、代表理事の木村真樹氏が2005年に設立。
設立背景には木村氏の熱い気持ちが込められている。

木村氏は大学卒業後、出身地である愛知で働くことを決意し、地方銀行員として勤務。
しかし、実際の銀行業務では本当に必要としている人にお金が貸せなかったり、
地域の方が預けてくれたお金を地域のために使用できていなかったりする状況にもどかしさを感じでいた。

銀行を退職後、NPO法人に就職した木村氏。
その時が出会ったのが、東京の「NPOバンク」である。

「NPOバンクがあれば地域のお金を地域のために使える循環構造ができる」
そう気がついた木村氏は、2006年 コミュニティー・ユース・バンクmomoを設立した。

最初は何もかも一人でこなしていたそうだ。
地元の企業、銀行に営業をしNPOバンクの必要性を訴え、
問題意識を共有できる仲間を集め活動をしてきた。


そして度々、木村氏はこんな質問を受けてきた。
「銀行が融資していないNPO法人に対して融資するのはリスクがあるのでは?」
しかし現実は、「No」である。

木村氏もこう語っている。
「例えば、西武信用金庫(東京都)のNPO向け融資のデフォルト(債務不履行)は、過去10年間で203件中1件のみ。
momoでも、14年5月末までに465件で累計1億円超の融資をNPOに実施してきましたが、貸し倒れの発生件数は0です。
さらに、NPO法人と地域金融機関はともに地域の重要な担い手でありながら、お互いに融資対象として考えにくい存在となっている現状もあります。
こうした地域金融機関とNPOとの間にあるギャップを埋めるためにも、momoではこれまで地域金融機関との連携を進めてきました。」


momoさんの最大の特徴は、「融資をしてからがスタート」と考え、融資後も様々なサポートを行っていることである。
融資をすれば問題は解決するとは考えていないのである。
momoさんは、「momoレンジャー」と呼ばれるボランティアスタッフが
融資だけでなく、場づくり人材派遣や情報発信などのサポートを行っている。

木村氏から実例を紹介していただいた。
「NPO法人ふれ愛名古屋」さんでは、webサイトがほしいと考えていたが
プログラミング技術を有するスタッフがおらず、作成できない状況にあった。
そんなときにmomoレンジャーがwebサイトを作成し、「ふれ愛名古屋」さんは喜んでくれたそうだ。

金銭面だけでないく全面的にサポートをしてくれるmomoさん。
だからこそ融資を受けるNPO法人も「必ず返済しよう」と感じるのではないだろうか。

現在設立9年目。
出資者からは
「お金が地元のために使われていることに喜びを感じている。」との声をいただき、
融資先からは
「銀行からは門前払いされたのに、momoさんからは借りられた。本当に助かっている」との声をいただき、
両者の思いを繋いでいるmomoさん。


最後に木村氏の思いを語っていただいた。

「愛知県のNPO法人数は全国でも一桁に入るほど多い県ですが、人口当たりのNPO法人数はワーストワンです。

つまり、愛知県は社会問題に気づき、の解決に向けて行動している人が少ないということかもしれません。
だからこそ、すでに挑戦しているNPOを地域社会みんなで支えていく必要があると思うのです。
愛知県もすでに様々な社会問題を抱えています。
愛知県内一つひとつの地域の持続可能性を実現する高めていくために、今後も仲間と共に頑張って行きたいと思っています。」

現在momoさんはそんな木村氏の思いに共感する事務局スタッフも募集中。
http://www.etic.or.jp/drive/job/2165

5月にもは46件目の融資を実行し、ますます愛知の存在感を増している。
今後もぜひ頑張っていただきたい。

取材日 2014年05月17日
訪問場所 コミュニティ・ユース・バンクmomo事務所

私からmomoさんへの応援メッセージ

私がmomoさんを知ったきっかけは
岐阜のNPO法人の事務局の方からの紹介である。

私は資金面、運営面で困っているNPO法人を会計の知識で助けてあげたいと思っていた。
そんなときに銀行員としての経験を活かしてNPO法人に貸付を行っている人がいると、紹介していただいた。

それからmomoレンジャーの応募をし、
個人的にも木村氏とお会いすることができた。

私が知らない間に起きている金融面での社会問題。

金融の中央集権化にいち早く気づき行動し、
最先端で取り組むmomoさんはまさにヒーローだと感じている。

今後もmomoさんを必要とする団体、NPO法人は必ずいるだろう。
必要としている人に高い付加価値を提供し、社会問題の解決に貢献し
持続可能な愛知が実現できるように頑張っていただきたいと思う。

私もヒーローの一員になるために、momoさんの活動に携わっていきたい。


2014年5月19日 by Takae


NPOバンクや、momoについて解説している動画である。
コミュニティーユースバンクmomoさんの取材コーナーもあるので、ぜひご覧になっていただきたい。

Aichi-community

http://aichi-community.jp/

 

代表の木村氏は、「公益財団法人あいちコミュニティ財団」の代表も務める。
その中で愛知の課題を可視化する事業「あいちの見える化ウェブ」の運営も行っている。
社会問題の認識から、その課題に取り組むNPO法人を認識する流れを構築しているのだ。

愛知版TRAPROでもあるこのwebサイトは非常におもしろいのでぜひご一読していただきたい。

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